シュトゥットガルト、量子ドットによるもつれベースQKDを敷設済みのキャンパス光ファイバーで実証
シュトゥットガルト主導のチームが、通信波長帯に変換した量子ドットのもつれ光子を使い、1.59kmのキャンパス光ファイバーで14.2Mbitの秘密鍵を生成した。
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シュトゥットガルト大学が率いるチームは、すでに敷設済みの光ファイバー回線で、もつれに基づく量子鍵配送(QKD)を実施した。多くの実地システムが頼る減衰レーザーや非線形結晶ではなく、半導体量子ドットから出る光子を使ったのが特徴だ。10月27日に公開されたプレプリント Deployed entanglement-based BBM92 quantum key distribution using frequency-converted photons emitted by a quantum dot で、17人の著者は、シュトゥットガルト・ファイヒンゲン(Vaihingen)キャンパスで206Hzの秘密鍵レートを19時間維持したと報告している。
発表内容
要旨によると、回線は敷設済み光ファイバー1.59kmに及び、合計14.2Mbitの秘密鍵を生成した。チームはこの鍵でカラー画像を暗号化・復号した。Quantum Computing Reportは、ザールラント大学とLeibniz IFW Dresdenも参加したと伝え、画像の暗号化をワンタイムパッド(one-time pad)と説明している。
技術的な詳細
光源は液滴エッチング(droplet-etched)法で作製したガリウムヒ素量子ドットで、1GHzの励起レートで波長約780nmの偏光もつれ光子対を放出する。この波長は標準的な通信用光ファイバーでは伝わりにくいため、チームは量子周波数変換を使い、偏光もつれを保ったまま各光子対の一方を通信波長帯へ移した。QCRによると、内部効率が最大50%のサニャック型変換器が、光子を779.8nmから1515nmへ変換した。
QCRが伝えるその他の数値:
- 275ピコ秒の同時計数窓で、目標とするベル状態に対する忠実度91.4%;
- 研究室とキャンパス内の別の場所にある受信ラックを結ぶ光ファイバー回線の総損失は1.09dBで、電動の偏光追跡を備える;
- 平均量子ビット誤り率4.70%で、生鍵レート504Hz、秘密鍵レート206Hz。BBM92プロトコルのしきい値11%を下回る;
- 5000ビットのLDPCブロックによる誤り訂正と、Toeplitzハッシュによる秘匿性増強。
QCRによると、電動波長板による1時間ごとの偏光チェックで回線は19時間を通じて安定し、スループットのわずかな低下は狭帯域フィルターの熱ドリフトによるものだった。
なぜ重要か
量子ドットはオンデマンドで光子を放出できるため、レーザーや結晶の光源が抱える、明るさと不要な多光子放出との根本的なトレードオフを避けられる。弱点はこれまで波長だった。著者らは、高速で明るいもつれ光子源、効率的な周波数変換器、ピコ秒精度の時刻同期が、実際に敷設されたネットワークで連携して機能することをこの実験が示したとしており、ハイブリッド量子ネットワークへの一歩だと位置づけている。
今後の注目点
結果は査読前のプレプリントで示されたものだ。距離はキャンパス規模にとどまる。次の課題は、この手法が都市規模の距離や多ノードネットワークでも機能し続けるか、そして光源と変換器の効率向上に伴って秘密鍵レートが上がるかどうかだ。
出典
このページの情報は、以下の出典をもとにDesignQuantumが収集したものです。
- Deployed entanglement-based BBM92 quantum key distribution using frequency-converted photons emitted by a quantum dot (arXiv:2610.37268) arxiv.org
- University of Stuttgart Deploys Quantum Dot QKD Link Using Frequency Conversion Over Campus Fiber (Quantum Computing Report) quantumcomputingreport.com
- University of Stuttgart uni-stuttgart.de
- Saarland University uni-saarland.de
- Leibniz IFW Dresden ifw-dresden.de